
経営の現場では、「改革」という言葉がよく使われます。
確かに改革という響きには、新しく生まれ変わるという前向きな印象があります。
しかし実際には、その多くが「経費削減」や「人件費削減」といった短絡的な手段に偏り、本当の意味での改善につながっていないことが少なくありません。
政治の世界でも同じように、いわゆる「身を切る改革」が叫ばれます。
ところが現実には、議員の報酬削減をアピールしつつも、裏では利権や独自の収入源を持っており、実質的には痛みを伴わないことが多いのです。
こうした見かけだけの改革は、ガス抜きにはなっても本質的な改善にはなりません。
そして必要な経費や人件費を切り捨てれば、現場の職員の士気が下がり、結果的に住民へのサービス低下へ直結します。
これは企業経営でも同じことが言えます。例えば「人件費削減」と称してパートを減らすと、一見コストは下がったように見えます。
しかしその分、管理職が自らレジに立ち、管理業務をおろそかにしてしまう。
結果として店舗全体の効率は落ち、売上や利益の拡大どころか縮小につながります。
これは「改革」という言葉の影に隠れた「改悪」にすぎません。
経営において本当に大切なのは、「どう人的資産を活用して収益を伸ばすか」を考えることです。
人を削るのではなく、人の力を引き出す。
経費を切り詰めるのではなく、投資によって成果を増やす。
そうした発想の転換こそが改善であり、組織を成長に導きます。
経営指導にあたっては、単なるコストカットの発想に陥らないように注意を促し、改善の方向へと意識を導くことが重要です。
改革という言葉に惑わされず、改善を積み重ねていくことが、企業の未来を確かなものにします。